はじめての演劇 その12 演じるうちに熱くなるときがある
私が所属している劇団は若いかたが多く、そして稽古にやたら厳しいといった劇団ではないため
まったくの素人でいい年して初めて入れていただくにはこの上なく有難い劇団です。
感謝しかありません。
劇団に入ったということで、他の劇団も気になるため、ときどき話を聞いてみたりしますけど
アマチュア劇団とはいえ、稽古の回数が多いとかですと、そもそも入れてもらうことも
簡単ではなく、入れてもらっても裏方というかたちになるケースが多いです。
裏方という形でなければ年齢制限があったりします。
最近わかったことには、そこそこの歴史がある劇団ですと、劇団全体の年齢層が年とともに上がっていくという傾向があるようです。
なぜそうなるかと言いますと、20年前にはじめたとき20代中心だった劇団ですと、それから新しい方が入ってきても、ずっと続けているかたは、当初のメンバー中心だったりするため、20代がそのまま40代になるようです。
これは劇団に限らずその他のサークルすべてにこの傾向があると思われます。
シニア劇団ですという劇団も少なからずあります。その場合ですとシニアはウエルカムですが、その環境が楽しいかどうかは
別問題です。
シニアになって、別のシニアたちと仲良くなることはもちろんいいことでしょうけど、若者が関わっているだろう演劇で
わざわざ同じ年代の人と関わるというのはあまりにももったいない気がします。
相手から拒否されたら仕方ありませんが、私がお世話になっているような劇団が実際あるわけですから
中年以降の人はぜひともイージーにシニア中心だ中年中心だという劇団ではなくて、いろんな方がおられる劇団に
入られるのをおすすめしたいと考えます。
前置きが長くなりましが、そんな若いかた中心の劇団で、あれやこれやと話を聞いたり、読み合わせをしたりと
私も中にいれていただくわけですが、ちょっとしたアドリブなどをやることになりますと、
その役になりきる必要があります。
するとですね、熱い役柄ですと、演じながら熱くなってくる自分を感じます。
架空の話で、仮想の自分でありながら、現実と仮想とが分けられなくなってきて
そこに没頭してしまうわけです。
ゲームでいう仮想社会に入り込んで、簡単に戻ってこれない自分がいます。
ゲームでは電源を切れば、その世界は完全になくなりますが、演劇では、自分が目の前でやっていたものから
急に自分本来というのに戻ってきても、たとえば怒りの感情があったとしたら、それは急にはおさまりません。
演劇をやるきっかけとしては、もう一人の自分を発見出来たらおもしろいだろうなという思いがあったからですが、
もしかしたら演じるということは、言われた役を演じているのではなくて、もう一人の自分なのかもしれません。
脚本にそっての読み合わせでも、それは自分だとこういうふうに表現するんだと思ってやっていて、
まったく違う自分がやっているわけではありません。
それが周りからどう評価されるかによって、演技が素晴らしいだの下手だのといったことになるかと思いますが
そこまでいかない段階で、演じるというのは、違う自分ではなくて、もうひとりのあり得る自分だとしたら
結構怖いものがあります。
2つ目の人生を歩いているかのようです。