空手 試合に参加するということは、試合のみならず、より厳しい稽古をすることであり、自分の気持ちを変えなくてはならない
スポーツは勝つために厳しい練習をし、勝てばさらに強くなろうと練習をし
負ければ悔し涙を流すという感じかと思います。
もっとも、これは勝敗にこだわっている場合で、趣味感覚のときは、そこまでの
気持ちは出てきません。
プロのかたを除けば、20代前半をすぎると、勝敗にこだわる気持ちはなくなっていくのが
普通でしょう。
そもそも勝敗にこだわるほどの練習をやっていませんし、そのためケガをするリスクのほうが
高くなってくるからです。
空手の場合は、武道ですので、若いときから、必要以上に勝敗にこだわることはいさめられています。
ガッツポーズなどはもちろんやってはいけません。
試合をやるのは勝つためではなく、自分を試すためであり、相手をしてくれる人へのリスペクトを基本とするからです。
サッカーなどチームでの試合ですと、そのチームのレベルに最低限合わせられないと参加出来ても
つまらないですし、場合によってはすぐに外されるかもしれません。
空手は個人競技ですので、参加者の構成にあわせてクラス分けが行われ、
参加者はそのクラス内の人たちと手合わせをすることになります。
負けても勝っても個人の話ですので、その結果が他人に直接影響を与えることは
ありません。
そういう意味では、誰もが参加しやすいということになりますが、経験上
35歳ぐらいから試合参加は見送るようになるのが普通じゃないかと思われます。
稽古に参加しなくなるというのもあるかと思いますが、それよりも試合の厳しさに
気持ちがついていかなくなるほうが大きいかと思います。
伝統派の試合はわかっていませんが、少なくともフルコンですと、試合後は全力を出し切って動けなくなっているのが普通です。
さらにダメージも受けていますので、場合によっては、すでにケガを負っているかもしれません。
若いときですと、これらのことも勲章かのような勢いですが、いい年齢になってきますと
そうも言ってられない現実のほうを考えてしまうのではないでしょうか。
試合だけ考えるなら、1回きりですから、そのときの勢いだけで可能かもしれませんが、
その前に稽古の強度をあげて、試合で勝てるようにするわけです。
そちらがもっときついわけです。
それ考えると余計気持ちがなえてくるだろうことは誰でもでしょう。
私もまったくそっちのほうですけど、やり直しを行っている現在は入門したての若いかたと
同じような勢いを求められていますので、積極的な試合参加も当然勧められます。
試合に出てみなさいと言われることは、ありがたいことです。
周りから誘われることもありがたいことです。
そのため、現在の私は、これまで自分の持っていた気持ちから、はじめたころの気持ちに
切り替えているところです。
そんなことが出来るのでしょうか。答えから言えばきっと出来ると思います。
空手を通じて、自分ではありえないと思っていたことがいくつも出来るようになりましたので。
最後に最近師範が試合について言われた言葉を引用します。
「武道の場合、「試合」はあくまで修行の成果の「試し合い」であり、勝つことが第一目的ではありません。しかし、武道の修行として試合をするのなら、勝つための努力はしないといけません。その努力をせずに「武道は試合が目的じゃない」などと言っているのは、しんどい事から逃げ出すための単なる言い訳です。」
いかがでしょうか。最後の言葉を聞いて身につまされる思いをされるかたは私含めてきっと多いのではないでしょうか。