やり直しの英語 その139 司馬遼太郎の「花神」を読んで幕末、維新の偉人からまなぶ英語学習の話

貸してもらったら本を片っ端から読んでいるなかに、「花神」という本があり現在読んでいるところです。
主人公は大村益次郎という長州藩の総参謀として幕府軍を壊滅させた人物です。

ここだけ聞くと、何やら勇ましいヒーローのように聞こえますが、そんなことはまったくなく
もともとは村医者です。

小説は、そんな別名、村田蔵六に焦点をあてて幕末および維新の話を続けていきます。

この蔵六というのは亀のことです。この名前からも想像できますように、ヒーローというには
ほど遠い性格からも来ているようです。

彼がどのようにして、幕府軍を壊滅させるほどになったかというのが書かれているとは思いますが、
そこではなくて、語学学習について面白いことがいくつも書かれています。

まずは蘭学についてです

鎖国時代は海外とはオランダにのみ長崎出島にて日本との取引をしていたということがあったのは皆さんも知っておられるかと
思います。

維新における重要人物を語るうえで有名なのは吉田松陰の松下村塾があります。
思想家として吉田松陰は多くの人に影響を与えたわけです。

もうひとつは、緒方洪庵の適塾という蘭学塾があります。

西洋の知識はオランダからしかはいってきませんので、蘭学が日本における最先端技術であったわけです。
封建社会ですから蘭学をまなぶことは、特に医者にとって、百姓でありながら侍にちかい地位をえる
ほぼ唯一の道だったそうです。

適塾では医学や物理学などを教えますが、一番力を入れていたのがオランダ語学習です。
村田蔵六はオランダ語では抜群の成績だったようで、塾頭にもなります。

クラスが別れていて、試験をやることによって、クラスが上がっていく下がっていくとなっていて
試験前はロウソクの火で全員徹夜していたようです。

福沢諭吉などもいた塾ですから、まあいや天下の秀才が集まっていたに違いないですけど、
それでもオランダ語学習で非常に苦労しています。

学習環境が違うとはいえ、参考書などだけで語学をモノにするのは非常に難しいということが
偉人伝のようなこの小説においてもはっきりわかります。

さらにおもしろいのは、何人かが長崎に直接オランダ人からの指導を受けようとまあいや留学するわけですけど、
彼らは会話が出来なかったという話が出ています。

参考書だけではスピーキングが難しいというのがここでも出ています。
妙に安心してしまう話です。

私も参考書だけでは英会話は難しいと感じていましたが、日本人は誰もがそうだったようです。

その後ペリー来航にて日本国民がショックを受け、通商条約で横浜が開港されます。
福沢諭吉はさっそく開港された横浜に行くと英語で書かれていて、まったく読めないことに
ショックを受けて、半日かけてきたのに、すぐに引き返します。

次は英語だとなり、英語学習をはじめるわけですが、村田蔵六は英語を学ぶために
我々も名前は知っているヘボンに教えてもらうため、毎回半日をかけて横浜に通っています。

時代が違うとはいえ、ここまでして、語学学習をしていたということには敬服します。

これらの話からわかることは、日本人にとっては英語(オランダ語)を学ぶのは難しく
参考書だけでは本は読めても、会話できるわけではない。
海外から学ぶにあたっては語学学習は何よりも優先されることです。

今の時代では幕末と違い英会話も動画や音声でいくらでも聞くことができます。
英語学校にいけば、自分でやりとりも出来ます。

よって、英語がやたら出来るけど、英会話がさっぱりという人はいないでしょう。

しかし、かなりの時間を語学学習に費やさないとモノにならないことははっきりします。

私は幕末の話を聞いて、出来ない自分に安心したという反面、これだけの学習環境がありながら
いまだいまいちなのは、努力が足りないということを教えられた気がします。

英語

Posted by yannori